ァイブスター物語 感想

破烈の人形

2025年5月15日 FSS感想 更新

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描いたイラスト
氷の女王・カイゼリン
GTM「破烈の人形」

連載時感想
13巻 14巻  15巻 16巻 17巻
18巻 19巻(予定)

変更された名称、設定
ファティマ一覧

2025年5月15日(木)

○「ファイブスター物語」感想(月刊ニュータイプ2025年6月号)

 (ネタバレ)

・扉絵はファティマ・エストのイラスト。
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(本編)
「第6話 アクト6-1 トラフィックス~ターミナル 終着駅」

・吹き飛んだデコースを手で受けとめて停止するGTMダッカス。
 立会人のイゾルデが決闘終了を告げる。決闘の勝者はヨーン・バインツェル。
 勝者側だけこの場に残って他は立ち去るように命じる。

・イゾルデのファティマ・バルタンはメヨーヨ軍がミノグシア側に付いて
 A.K.D.と共闘し北部の枢軸傭兵騎士団を壊滅させたと伝える。
 イゾルデは戦況が変わったとクバルカン法国のローテ騎士団も引き上げさせる。

・デコースは意識を保っているが致命傷で持って数分の命。
 ヨーンは何故自分を殺さなかったのかとデコースに問うと
 デコースはヨーンをエストの目の前で殺すと壊れるからだと答える。
 エストの別人格で放浪するシークモードはすでに自分自身で破壊している。
 バーシャの時に関わった多くの騎士を忘れるよりも憶えておく方が精神が保つと判断した。
 エストが憶えている限りデコースという騎士は忘れられない。

・デコースはヨーンの隣にいるソープに最高の場を用意してくれたと感謝する。
 エストにもう放浪の旅に出るなと命令し遺体はここに埋めてくれと遺言を残す。

・デコースを埋めた場所でエストとヨーンは二人きりで話す。
 エストはヨーンのことを覚えている。ヨーンが自分と戦う相手になってうれしかったと。
 沢山の騎士を見捨てた償いとして自分を殺すように頼むがヨーンは断る。
 エストとバーシャは決闘でマスターのデコースを殺したヨーンを次の黒騎士と認めている。
 これがファティマ・エスト。
 
 続く。
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・デコースとエストのエピソードを1巻から読み返してたら感想が遅くなった。

・連載扉で年代表記の訂正がされている。
 なんと19巻分連載での年代はずっと「3070年」表記だったがそれは間違っており
 「エンペラーズ・ハイランダー」のダイ・グの崩御は「3071年」、ジークの戴冠は「3072年」、
 「トラフィックス~ターミナル」のA.K.D.の宣戦布告が「3073年」が正解だという。
 作者に「ヨーンの脊髄の損傷とリハビリが1年で終わるわけがない」と突っ込み待ちされても
 読者は「星団の科学力とミラージュの施設ならありか?」と思ってしまっても仕方がない。
 星団暦の年表はこの作品の根幹に関わるので編集時のチェックはしっかりしてほしい。
 デザインズ4に記載された個人年表からもかなりずれてきているが
 11巻冒頭のミノグシア解放が「3075年」なのは変わらないかな。

○「3代目黒騎士デコース・ワイズメル」

・まさかデコースの死にこれ程ページを割かれるとは思わなかった。
 第1話で主人公のやられ役のチンピラ騎士として登場しておきながら
 後に黒騎士となり一国の騎士団長を務め変顔を見せながら本編で大活躍した。
 なんだかんだいってこの作品で一番好きなキャラクターだったかもしれない。

・騎士としての強さは剣聖カイエンやログナーなどがインフレ的に設定が盛られていく中で
 最強とは呼べなくても「黒騎士」の銘の格を保ち超一流の騎士の強さを見せてくれた。
(最近デコースと「ヘ・リー聖域」に繋がりがありそうな怪しい描写があったが)

・その性格は作者によるとねじ曲がっており自己顕示欲が強く
 享楽主義で自分が面白そうと思ったことをやるだけ。
 野良生まれの騎士としてエストに選ばれ「黒騎士」の銘を得たことで
 血統のよい偉そうな騎士たちが妬み悔しがるのを見て嘲笑ってやろうと思っていたはず。
 しかしバッハトマ魔法帝国の騎士団長になってからは自分と同じような
 才能はあるが家柄や性格で大国の騎士団から弾かれた騎士たちを集め
 強力な騎士団に育て上げるのが面白くなってしまった。
 若手の騎士たちからは態度は怖いが強くて面倒見の良い騎士団長と映っていただろう。
 敵側の騎士たちからも敬意を評されるほどの星団を代表する騎士として名を残した。
 18巻のデコースの解説で「はたしてこれは自分が望んだ騎士なのか?」と
 疑問に思っていたようだが人生そういうものかもしれない。

・ログナーは桜子に蘇生、延命は敗者に恥をかかせるから余計なことはするなという。
 5巻で2代目黒騎士ロードスがデコースに決闘で負けた時も医者を呼べば
 延命できたかもしれないが剣で完敗した騎士の天命としてそのまま死ぬことを選んだ。

・ヨーンはデコースと再戦した時(18巻)に何故殺さなかったのかと問うと
 ヨーンをエストの目の前で殺すとエストが壊れるからだと答える。
 エストが生きているかぎりデコースという凄え騎士のことを憶えてくれるからだと。
 エストへの最期の台詞に「オレ」ではなく「オレたち騎士のことを憶えていてくれ」と
 言っていることが重要な気がする。

・それとは別に単純にエストの心配をしている自分に言い訳をしているようにも聞こえた。
 「ファティマの魔性」に堕ちたのか?と言われるとちょっと違うと思う。
 デコースがファティマを嫌うのは人間の命令に献身的に従うように作られた
 美少女型人造人間に対する「生理的嫌悪感」だと思うが
 ミースの話を聞きエストがただの人形ではないと認識が変わってからは
 デコースなりに命を預ける道具として大切に思うようになったのかもしれない。

・「ファティマの魔性」に囚われた一番わかりやすい例がヨーンで
 デコースを倒すという名目で長年エスト(バーシャ)の影を追いかけ続け
 いつも隣で支えてくれていたパルスエットを失ったことで心が壊れかけた。

・今回ヨーンだけではなく1巻から因縁のあるソープとデコースが再び対面する。
 デコースが最高の場を用意してくれたと感謝の言葉を残したことに驚きだが
 それはソープの正体がアマテラスだとわかっていたということだ。
 そういえばソープの髪の色が13巻のツラック隊でイメチェンした黒髪ではなく
 1巻のデコースの知る茶髪のソープになっていたのはなんとも粋な演出。

・ログナーとソープとヨーンの3人がデコースを土に埋める絵はなんかシュールだった。
 決闘の勝者だけでなくデルタ・ベルン星の皇帝とバビロン国王が
 自らの手で土に埋めてくれるというのは騎士として贅沢なことだ。
 ログナーは敬意を持って接するべき優れた騎士を「戦士」と呼ぶと
 デザインズ5で書かれていたがそれはデコースに向けられた言葉だった。

・バッハトマ側の見届人のバギィはデコースの敗北を本当に辛そうにしていた。
 彼も普段の態度は悪そうだが14巻でマスターのために死のうとするニナリスの心配をしたり
 実はいい人オーラを隠せていない。デコース敗北後バッハトマでの彼の動向が心配だ。

・ヨーンについてソープに相談するファティマ・ブライド。
 デコースとの決闘の最中GTMモルフォが一瞬停止したことだ。
 デコースはフェイントかと驚きヨーンは気付いてすらいなかった。
 自分はヨーンの予想以上の動きにモルフォが付いてけなかったのかな?と思ったが
 それならソープがよくない兆候だとは言わないだろう。
 これはやはりショーカムやダイ・グと同じ病気が発症したとかそういう話だろうか。
 だとしたらジーク周辺の人物の発症率が高すぎだが。
 (15巻でクープ博士は100年一度かそれ以上に稀な症例と言っていた。)
 ヨーンは連載扉のミラージュメンバー表で「勅命後、永久欠番?」となっていたのも不穏だ。

・11巻10頁のエストとヨーンとブライドのイメージシーンは今回で描写されたことになるかな。

○「ファティマ・エスト ブラック・ファッティース」

・エストは「シンクロナイズド・フラッター」システムによって
 ペアで作られたGTMダッカスと組むことでその性能を発揮する。
 そのためエストはダッカスと相性の良い騎士を「マスター」に選ぶのだが
 彼女とダッカス獲得のために騎士たちが血みどろに争うのを見てエストは精神崩壊寸前になった。
 それから守るためにモラードは人格を切り替えて自らマスターを探す「シークモード」を追加した。
 バーシャとして放浪し「マスター」に相応しい騎士を見つけたら別人格は消去されエストに戻る。

・そのエストに消えたはずのバーシャの記憶があることは今年の1月号で明確になっていた。
 17巻でデコースはミースにエストの「シークモード」について質問攻めにしたようだが
 ミースが言うにはファティマには自分の暴走を防ぐ自己修復機能があり
 エストは長年の人格の切り替えの負担が大きい「シークモード」を消去している痕跡があるという。
 バーシャの時に関わった多くの騎士たちとの記憶を忘れるよりも
 憶えておく方が自分の精神負荷が少ないと判断したようだ。
 それは10巻でヨーンと出会う前から「シークモード」を破壊していたということだ。

・13巻でデコースはエストを生みの親のモラード博士の元にメンテに行かせた。
 そこでモラードがエストのシークモード破壊に気付いてないとおかしい。
 ただ13巻58頁を読むとモラードがエストの記憶の消去について言及したすぐ後に
 ビルドがなぜ何十回もお見合いをしてもマスターを認めないのか分からないと嘆くが
 ミースはなんとなく分かるという場面があった。これはモラードが天然なだけともいえるが
 他人の作品の問題点には客観的になれて簡単に気付けても
 自分の作品の問題点には近視眼的になり気付けないというのはよくあることかもしれない。

・10巻を読み直すと放浪のアトロポスがバーシャに言った
 「なぜこんな自らを痛みつける過酷な道を歩まれます?」という台詞の意味が重くなってくる。
 アトロポスは自分を騎士だと嘘を付きエストは自分をバーシャだと嘘を付いていた。

・ファティマ・エストの残酷性というか自らのマスターを殺した相手を
 すぐに次のマスターと認めるというのはファティマとしての本能なので責める気にはなれない。
 普通マスターを殺した相手には大体パートナーがいるはずなので断られるだろうが。
 本当にエストが残酷ならそもそも苦しまないし死を望まないだろう。

・6巻の人形専門の売春宿でエストがパルスエットと出会い名前を聞いている。
 ヨーン対する罪悪感は結果的にパルスエットを失わせたことの方が大きいか?

・元々ファティマは人間より感受性が強く情緒が不安定で戦闘向きではない。
 思考制御プログラムの「ダムゲート・コントロール」を追加しても不安定性は直らず
 「マスター」を選ぶ権利を得ることでやっと精神が安定して兵器として使えるようになった。
 そんな自分のマスターが死んで長く精神が落ち込む例は結構ある。
 元々ピーキーな性能のファティマ・パルテノはシャフトが死んで(8巻)壊れかけた。
 ティンを失った(9巻)ファティマ・ベルダもマウザーと会うまで精神的に塞ぎこんでいたという。(15巻)
 マスターに騎士の子供がいると遺伝子的相性もあるのでスムーズに移行されることが多い。
 だから2代目黒騎士グラードの孫であるナオに周囲は期待を寄せて会わせたのだろうが
 GTMダッカスとの相性を優先するエストは超帝國剣聖の転生体であるナオでも選ばなかった。

・1巻冒頭3960年に5代目黒騎士グラードがL.E.D.ミラージュに負けて死亡し
 エストはMHバッシュと共に眠りについたが彼女の精神的にこれが限界だったのだろうか。
 (キャラクターズ2ではグラードの後のマスターがコーラス6世となってるが今の設定は不明。)

・エストの基準ではヨーンはすでに黒騎士の資格があるようだ。
 というよりGTMダッカスと相性の良さそうな才能を持つ騎士を育てていた。
 しかし公式の4代目黒騎士は3200年代のバントライン・コールまで出てこない。
 ヨーンはいかなる選択をするのか?

2025年4月11日(金)

○「ファイブスター物語」感想(月刊ニュータイプ2025年5月号)

・扉絵は式典礼装を着たファティマ・エストのイラスト。
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(本編)
「第6話 アクト6-1 トラフィックス~ターミナル 終着駅」

・ログナーの言葉を思い出し落ち着くヨーン。
 ヨーンのストラト・ブレードからの突きをデコースが余裕でかわしたかと思ったら
 最初の突きと同時に無手を置いていてダッカスの盾が割れる。

・ヨーンの剣技に驚く観戦していた騎士たち。
 フィルモア女王のリリはヨーンが自分の剣技を昇華してくれたと感涙。

・ヨーンが見せた剣技に喜ぶデコース。
 「3代目黒騎士の置き土産だ」とダッカスは両手持ちの構えを取る。

・ダッカスの「連弾五月雨打ち」をモルフォの左腕で受け止めると
 モルフォの剣がダッカスの胸部を破壊する。

・デコースはダッカスのコクピットから吹き飛びエストはダッカスの手で受け止める。

 続く。
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・扉絵のエストは3075年の式典礼装。
 18巻184頁でシアン夫人がパルスエット用に用意していた服と思われる。
 これは過去の「エスト スクールカレンダー」で描かれたクリスマスのスーツで
 エストはこれを着て結婚式に参列したというが誰の結婚式かは物語的に大体察せられる。

・ついにヨーンとデコースの長年の対決に決着。
 本音はもっと長く戦ってほしかったがFSSの1対1の決闘なんて
 一瞬で決まったりするので長く描いてくれた方か。

・ログナーの言葉でヨーンが手を合わせたケタ違いに強い騎士を思い浮かべる。
 ジークの母、フィルモア女王リリから教わった剣技を昇華させて放つヨーン。
 デザインズ4で剣聖を除く人間の騎士のトップがアイシャとリリだと解説されている。
 13巻で剣聖慧茄はリリと3度立ち合い唯一自分の間合いに入られた騎士だと語っていた。
 特にリリは15巻で息子ジークを助けてくれたパルスエットのマスターのヨーンに
 お礼として自分の持つ全ての剣技を教え修行をつけてくれた。
 デコース(とバーシャ)が裏の師匠ならリリは表の師匠と呼ぶにふさわしいのかもしれない。

・「ストラト・ブレード(七音剣)」からの突きと同時に「無手」を置いてくる。
 歴戦の騎士であるランドが「初めて見る剣」と言っていたことから
 ヨーンがあの場で編み出した新技であることがわかる。
 超帝国剣聖の血を持つマキシも汗を流している。
 それでも普通なら胸の急所に入っていたところをデコースは左腕の盾でしのいだ。
 それは10巻でヨーンが左腕を犠牲にして首を狙った剣筋を変えさせたのと同じ。

・茄里には「無手」を混ぜた連続攻撃に見えたというが
 リリの解説によると「七音剣(ストラト・ブレード)」の足さばきから入る
 突き「光針剣(フラッシュ・ニードル)」と同時に「無手」を置いていたという。
 リリはヨーンの新技を「位相反転技(フェイシズ・ドライブ)」と名付けた。

・正直リリの解説を聞いても中々ヨーンの動作は上手く飲み込めない。
 今回の決闘はアニメのコマ送りでどういう動きをしていたのか見てみたいものだ。

・デコースは「剣技の先行入力」と言っていたが
 格闘ゲームをやっている作者らしい表現かもしれない。
 ヨーンの「七音剣」+「光針剣」に対して即座に反撃しようとしたデコースに
 「無手」を「置いて」牽制して「つばめ返し」でカウンターみたいな感じだろうか。
 とはいえFSSはゲーム世界ではないのであくまで例えということで。

・ヨーンの新技に喜びエストの声を聞かなくなってからのデコースは
 すでに自分が負けて死ぬ前提の言動になっている。
 「3代目黒騎士の置き土産」なんてその最たるもの。

・デコースの二刀流は間合いの変化する「伸侵剣(ロングスライド・スタンス)」。
 それを一刀でやる多段攻撃が「連弾五月雨打ち(ハンマリング・ラッシュ)」。
 デコースの剣技に押されたヨーンは10巻でアイシャに食らった掌底を思い出したのかもしれない。
 ヨーンはモルフォの左腕のソード・スキッパーでダッカスの剣を止めて折る。
 即座に自分の剣をダッカスの胸部に当ててコクピットから吹き飛ばされるデコース。
 エストがデコースをダッカスの手で受け止めたがさすがに致命傷だろう。

・パルテノはデコースとマドラの子供でマスターのベルベット・ワイズメルに
 父の黒騎士の戦いを見せてあげていたが結局自分の子供と対面することはなかったか。

・エストがヨーンと共にアマテラスの浮遊城に行くことは決定事項なのだが
 次回ヨーンとバーシャの記憶を持つエストがどういう心境で言葉を交わすのか気になる。

2025年3月20日(木)

○「ファイブスター物語」18巻 感想

18巻分連載時の感想はこちら。

・17巻発売からちょうど2年ぶりの新刊発売。
 連載が結構進んでいるので去年の冬頃には発売されるかと思っていたが
 去年は「永野護デザイン展」とデザインズ7の発売があったので仕方がないか。

・表紙はカイゼリン・スーツを着たバランシェ・ファティマ「チャンダナ」。
 裏表紙の紋章はダイ・グ・フィルモアの皇帝紋。歴代皇帝に与えられる個人紋章。

・18巻の内容はナカカラ防衛戦の「緋色の雫」と
 ヨーンがミラージュ騎士になる「トラフィックス4」まで。
 特にファティマ・リレーでバランシェ系ファティマが総登場するのが見どころか。
 巻末にはファティマの解説と炎の魔女のイメージイラストと解説が載っている。

・登場人物のページで初出の絵はアルカナ・ナイトの4人、
 そして突如登場して読者を困惑させた「スピリッター・クージャ・テンパラー」。

・連載との変更点は細かい誤植や台詞の修正、背景トーンの追加ぐらいかな。
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○「第6話 アクト5-1 緋色の雫」

・GTM「バンシーカ(メロウラ)」
 17巻ラストでクリスの乗るGTMが帝騎「ナキメーカ」と紹介されたのに
 18巻で台詞を足してまで「バンシーカ」に修正されている。
 「メロウラ」→「スクリーマー」→「ナキメーカ」→「バンシーカ」という流れ。
 兵器が開発者、搭乗者、活躍時期や陣営によって呼称が異なるのは分かるがさすがに混乱する。
 装甲デザインも巻頭のイラストとは違いナカカラ防衛戦ではカイゼリンに似た装甲をしている。
 次にクリスが活躍する時(おそらく「カーマントー解放戦」)に装甲を戻すのだろうか?

・GTM「ダス・ゴースト(ウィリーズ)」
 ダイ・グの乗騎で皇帝騎。MHプロミネンスに相当。
 ドナウ帝国時代に製作されたカイゼリン型GTM4騎の一つ。
 1番「カイゼリン」2番「メロウラ」3番「グーガント」4番「ウィリーズ」の順に製作。
 クリスの窮地に助けにダイ・グのGTMダス・ゴーストが登場するシーンは
 11巻のダイ・グのMHプロミネンス登場シーンを想起させる。

・GTM「ブーレイ・ロウカン(琅玕)」「ブーレイ・オデオン」
 57頁のパラーシャの説明通り「ロウカン」は2巻に登場したMH「ブーレイ・スプートニク」、
 「オデオン」は11巻でフィルモアの騎士団と戦闘したMH「ブーレイ・ボストーク」に相当する。
 デザインズ6の新旧名称の対応表から変わっているので注意。

・「ドリュー・ゼレ将軍」
 フィルモア帝国ノイエシルチス元「氷グループ」の指揮官で
 システム・カリギュラの騎士で天照王朝の貴族という謎の多い人物。
 なんと2巻の91頁の5コマ目にいる「朱」のマークを付けた騎士が彼だという。
 仕事に徹するプロの傭兵騎士といった感じだがダイ・グの皇帝としての言葉を
 待ってくれたり戦闘の引き際をわきまえていたりと中々の好人物。

○ファティマ・チャンダナによる全星団通信乗っ取りファティマ・リレー。
 今巻のクライマックス。40年近くの連載を経てバランシェ系ファティマが全員総登場した。
 作者はダイ・グの演説の前のファティマ・リレーでこんなに頁を割くつもりはなかったが
 バランシェ系ファティマを有する星団各国の騎士や国家の動きを見せるのに便利で
 なによりも「ファッション・ショー」を描きたくなったようだ。

・92頁に「63人分 44+4+4+4+4+3」と書かれているが
 連載では「61人分 45+3+2+4+4+3」と書かれていた。
 単純に計算間違いか「この世にいない」判定があやふやだったか。

・バランシェ・ファティマ44人、バランシェ工場製ファティマ4人、バランシェ製エトラムル4体、
 リチウム・バランス4人、アルセニック・バランス4人、シルバー・バランシェ3人、という計算だとすると
 バランシェ・ファティマ(マキシを含めて)46人の内BF-03.バランスはボディだけなので除外、
 令令謝はすでに亡くなっていて代わりの零零はFネーム・ファティマなので除外。
 リチウム・バランス6人の内、インタシティは9巻で亡くなって
 アウクソーの中にいるフォーカスライトはボディがないので数えない。

・121頁のアマテラスの台詞「この世にいないバランス家の4人」とは誰か?
 連載時から読者に向けてクイズを出されて色々と議論されたが
 作者によるとフォーカスライトとインタシティと令令謝の3人が確定。
 なので自分は「この世」ではない異次元にいるドアランデアスティルーテが4人目かと思ったが
 彼女の登場後もデザインズ7の夢の令令謝の解説で作者は言葉を濁しているので違うのかな。

○フィルモア帝国皇帝ダイ・グの命を賭けた演説。
 12巻で語られたようにフィルモア帝国が存在するカラミティ星の崩壊が近いことがわかっていて
 ボォス星のナカカラにフィルモア帝国を確立させることがダイ・グの皇帝としての役割だった。
 その役割に重圧を覚えていたダイ・グは16巻でラキシスにアマテラスならどうするのかと聞くと
 「アマテラスはそんな責任ほっぽり出して逃げる」と答える。
 それを聞いたダイ・グは皇帝としての重圧など考えず自分の心に素直に行動しようとする。
 それは「クリスティンを守る」と「フィルモアとナカカラ、互いに流れる血を減らす」だ。
 演説内容は「フィルモアがナカカラを武力や経済で支配するのは許さず、
 古から続くミノグシアとフィルモアの友好」だった。
 これを聞いた多くの星団民は全星団の通信で緊急放送する程の内容か?と思ったかもしれない。
 しばらく元老院がおとなしくなってもナカカラを守るフィルモア皇帝を見殺しにしようとした
 ナカカラ王国はフィルモアと国民に糾弾されいずれフィルモアの支配化になるだろう。
 ただダイ・グの純粋な願いは星団の一部の人達の心に大きく影響を与えることになる。
 一番心に動揺を与えたのはフェイツ公国のカフェでワスチャと演説を聞いていたジークボゥだ。

○「スタント遊星 恒星バスター系 惑星シャグジャリグリ・トウオ」

・ファティマ「ドアランデアスティルーテ」
 「緋色の雫」のラストで満を持して登場した最後のバランシェ・ファティマ。
 単行本17巻表紙のファティマだが公表された時はまだ連載でも登場してなかった。
 現在スタント遊星の恒星バスター系の異次元世界に存在する。

・「トワイス・カテリ枢機卿」は18巻では名前が出てないがちょっと解説する。
 11巻巻末のファティマデータにドアランデアスティルーテのマスターと設定されていて
 おそらくミューズの後の静のマスターになると思われる謎の多い女性騎士。
 星団暦1750年に姉の詩女ナージュグの要請でGTM「破烈の人形」に乗って
 恒星バスターの調査に向かうが帰って来たのはGTM「破烈の人形」とシン・ファイアの記録のみ。
 それから1000年後、星団暦2770年に詩女ジキジディは剣聖カイエンにトワイス・カテリ救出を依頼。
 カイエンは令令謝とドアランデアスティルーテを連れてGTM「破烈の人形」で恒星バスターに行く。
 しかし詩女ジキジディの元に帰って来たのはGTM「破烈の人形」と衰弱したカイエンのみ。
 詩女ジキジディはラーンの地下にカイエンを封印して後の詩女ボルサがカイエンを覚醒。
 復活したカイエンに当時の記憶は残っていない。
 10巻122頁で東の君が桜子の母の詩女フンフトについて「カイエンを復活させた」と言っているが
 これは東の君の勘違いで詩女の設定がまだ整理できてなかった作者のヘマだと謝っている。

・GTM「破烈の人形」を操縦してカイエンと一緒に星団に来た令令謝(のふりをした零零)は
 詩女に会うと正体がすぐにばれるので聖宮ラーンには行かずバランシェの元へ。
 バランシェは「ぴっぴきー演算」とか言ってる彼女を壊れていて治せないと判断。
 14巻で母の妹のヒュートランに豆腐の角をぶつけてぶっ壊したのは彼女だ。
 このせいでヒュートランのダムゲート・コントロールは外されている。
 それを見ていた京と被害者のヒュートランは彼女は何か怪しいと強気に出ていた。

・「スピリッター・クージャ・テンパラー」
 ドアランデアスティルーテと共にいきなり登場した奇怪な物体。
 最初の印象はブレンパワードとシェルブリットの「シェル・スレーブ」を混ぜて生体っぽくした感じ。
 作者によると最新の永野メカらしい。頭部と腕部だけで脚部はない。
 恒星バスター系の惑星シャグジャリグリ・トウオの世界の「ヒト」に相当する存在のサポートをする。
 ジョーカー星団の人間にとってのファティマやMH・GTMみたいなものだろうか?
 スピリッターのランクは上から白(クージャ)、青(執政者)、緑(官僚)、灰色(一般民)。
 白より上がいるがスタント遊星攻防戦まで登場しないという。
 143頁は「青印(執政者)が緑台(官僚)を巻き込み灰群(一般人)を再び支配下に置こうとしている」
 「青よりランクが上の雪弁(ホワイト)としてはなんとかしないといけない」といった会話だ。

○「第6話 アクト5-2 トラフィックス4 終わりの始まり」

・「アーリィ・ブラスト」
 15巻でバッハトマ黒豹騎士団副団長として登場。ヨーンと戦うが一目惚れ。
 17巻45頁で「彼女の行動が魔導大戦終焉のきっかけとなる」と予告されたが
 それが今回のエピソードなのかなと思っている。
 アーリィは上官の命を狙うヨーンに惚れて近づいたがそれをトモエに利用される。
 ヨーンはデコースと再戦して重傷。パルスエットは殺され私闘の結果を公開され辱められた。
 アーリィも処分されそうになるがトモエを殺し抜け忍になる。

・結果的にバッハトマ帝国は黒豹騎士団の団長と副団長を失い
 私怨と感情だけで抜け忍になったアーリィはカイダからミラージュ騎士団に誘われ
 ヨーンはミラージュ騎士団に入団してデコースを倒すようにアマテラスから勅命を受ける。
 これが魔導大戦終焉のきっかけということか。

・詩女の命を狙いナオに倒された人造騎士が残した言葉「ゾ・ルゴウカ」。
 アマテラスだけではなくヴィーキュルの女魔帝ダルリハさえ知らない言葉。
 モナークの素子姫であるイエッタは知っている。当然ログナーも知っているだろう。
 ただし二人は星団暦の住人として振舞いその知識で星団暦に干渉しようとはしない。

 連載扉のデザインズ7について収録されないのは3100~3159年組の
 「ダスニカ」「ヨーグン」「モイキュード・スペラクター ゾ・ルゴウカ」と書かれていた。
 モイキュードとはデザインズ1の時点ではカレンたちタイカ宇宙と敵対するバスター宇宙の神の名前。
 ただし13巻以降GTMになってからはヴィーキュル(悪魔)と合わせて設定が変更されて
 あくまで天照大神に作られたジョーカー宇宙の異次元の邪神となっている。
 漫画でモイキュードの名前が最初に出たのは16巻144頁でポーターが
 「アクト・リジット・オーバーロード(太剛神)モイキュード」と言っている。
 17巻174頁では女魔帝が「ヴィーキュルの仲介者でスタント遊星を星団に持ち込んだ」と言っていた。
 「ゾ・ルゴウカ」はモイキュードの名前の一部か、それに関連するものだと思われる。
 となると17巻で登場したビューティー・ペールとヨーグンとダスニカの連中は
 そんな悪魔か邪神が関わる超太古の技術で人造騎士を作らせたことになる。

・ヨーンが剣を取りミラージュ騎士団に入団。
 ヨーンのイラストが最初に公開されたのは「キャラクターズ1(1988年発行)」だと思うが
 まさかミラージュ騎士団に入るまで30年以上かかると作者も思っていなかっただろう。

・パルスエットの死に関しては連載時の感想(23年7月号)で長々と書いたのでそっちで。
 そういえば今月のNTのFSS特集でパルスエットの生涯を振り返っていたが
 そこに18巻237頁の「マリエ(ウェディングドレス)の女性」のイラストが載っていたので
 彼女がパルスエットで間違いないだろう。そこにどんな意味があるのかはまだ不明。

・ファティマ「ブライド」。
 開発専門のファティマ・バクスチュアルのGTM戦闘モードの名前。
 着てるスーツは11巻表紙の姿とほとんど同じ。
 11巻10頁のイメージシーンでエストと対峙するヨーンの隣にいるのがブライドと思われる。
 そのシーンが描かれるのは近い。

・「AUGE=HA(アゲハ)型GTMモルフォ」。
 10巻ラストに登場したグリーン・ネイパーのマシンメサイア「オージェ」のGTM版。
 12巻でアルルのSR1と私闘で戦ったのでアマテラスに怒られて取り上げられる。
 AD世紀のスミロ・フレームなので普通のファティマではコントロールは難しいが
 ファティマ「ブライド」は難なく制御をしてみせる。
 18巻110頁で「ブライド」の隣にいるファティマ「シシステルケスレム」が言っていた
 「バックライド・リジット・フライヤー」とはこのGTMモルフォの肩から広がる羽状のもののこと。
 「オージェ」の「オージェ・バインダー」に相当する。
 ちなみに7巻でブラフォードが倒したMH「オージェ・アルスキュル」は
 18巻113頁のユリカが言うにはGTM「トリバネル・アルスキュル」という名前だったようだ。

○「完全情報共有体 オーバー・マインド」。
 連載でもボードの台詞に「個であり全(OVER MIND)」とルビが入っていたが
 「完全情報共有体 オーバー・マインド」というのは今巻で初めて出たワード。

・長年のFSS読者は「オーバーマインド」と聞くと
 エピソードガイド(97年発行)で解説された全能神の枠組みを超える何か、
 「大君主 ビヨンド・クラスファー・オーバーマインド」が出てくるがそれとは別のものだろう。
 16巻で「大君主バフォメート」の名前が出た時はついに全能神以上の存在が登場するのか
 と思ったらあくまでヴィーキュルの神的存在でミラージュ騎士のヴィクトリーだった。
 デザインズ1で「大神望 ビヨンド・クラスファー・オーバーマテリアル」と変わったが
 16巻では「最高位存在(ビヨンド・クラスファー)アマテラス」となっている。
 16巻239頁でカレンが「クラスファー(大雲上)様」とMHからGTMに世界を変えたと言っていた。

・ちなみに元ネタはキューブリック監督のSF映画「2001年宇宙の旅」の原作者、
 アーサー・C・クラークのSF小説「幼年期の終わり」に出てくる「オーバーマインド」。
 他にも「オーバーロード」、カレンの名前の元ネタ「カレルレン」が出てくる。
 この知的生命体の精神集合存在という概念は後のSF作品に強い影響を与えている。

・話が逸れたが今巻でチャンダナはバランシェ系ファティマの情報統合を実行して
 「完全情報共有体 オーバー・マインド」となるが生体エネルギーを消費して長い眠りについた。
 この状態になると全世界の全ての電子機器を一瞬で制御下における。
 (ただし対抗して防御するファティマが搭載されているGTMや兵器は無理。)

・「カレン ファーストイメージ」のイラストは過去に描かれた永野版Zガンダムの「ハマーン・カーン」。
 「炎の魔女(82年)」のイラストは「永野護デザイン展」で追加展示されているが
 これは3巻175頁でムグミカが語った「五つの星の物語」のイメージと同じ。

・6話も終盤戦で作者は7話のことで頭がいっぱいみたいだ。
 19巻分の連載も終盤に入って「44分間の奇蹟」が描かれるのは20巻辺りだろうか。
 作者には健康に気を付けてこの連載ペースで頑張ってほしい。

2025年3月12日(水)

○「ファイブスター物語」感想(月刊ニュータイプ2025年4月号)

・NT創刊40周年記念特大号。「FSS」巻頭特集。
 18巻表紙絵とNT表紙絵の両面B2ポスター。
 スペシャル対談「美樹本晴彦×永野護」。

・扉絵はバクスチュアルが第7話「フル・フラジャイル」ついて予告している。
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(本編)
「第6話 アクト6-1 トラフィックス~ターミナル 終着駅」

・中継でヨーンの決闘を観るシアン夫人。
 隣に現れたのはネリスという騎士とファティマ・クラトーマ。

・同じく中継で決闘を観るクリスとファティマ・町。
 かつて町とクリスの父バーバリュース・Vはデコースと戦った。
 だがデコースを倒し切れず逃がしてしまった。
 それが後にデコースがエトラムルでユーレイ部隊を倒したと話がすり替わっていた。

・そもそもデコースが使っていたGTMはライモンダではなくエトラムルでもなかった。
 あれは禁断のロスト・テクノロジー「ヘ・リー聖域」のGTMと制御人形だった。

・再びヨーンとデコースの決闘場面。
 エストはモルフォ可動部の過熱による運動低下を狙っていると
 ヨーンとバシクは先手を取ろうとするがモルフォの動きが一瞬止まる。
 デコースはフェイントだと疑いエストも予測外の反応。バシクもモルフォも戸惑った。
 ヨーンだけ今の挙動に気付いていない。

・観戦するソープも何かに気付く。
 ログナーのところに降りるとツバンツヒに船団の指揮を任せる。

・先手ばかりを取られジリ貧となったヨーンの頭に浮かぶのは
 ログナーに言われた人生で手を合わせた強い騎士を思い出せという言葉。

 続く。
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・NT創刊40周年記念特大号。
 表紙イラストは「GTMモルフォとファティマ・バクスチュアル」。
 GTMに変更後はザ・ブライドの姿だったが今回はデカダン・スーツを着ている。

・コミックス18巻の振り返りとしてパルスエットの生涯と
 チャンダナから始まったバランシェ系ファティマのファティマ・リレーに
 参加したファティマ総勢66人を4頁にわたって紹介。

・スペシャル対談「美樹本晴彦×永野護with川村万梨阿」。
 マクロスで有名な美樹本晴彦とデザイナー対談。
 アニメ業界で同世代のクリエーターだが親しい友人とは知らなかった。
 マクロス劇場版のポスターを描く美樹本氏を目の前で見て衝撃を受けた永野氏と
 画材に行き詰っていた美樹本氏に永野氏が後押ししたりとお互い影響しあったようだ。

・ボークスから1/72「グリット・ブリンガー =ボォス3070=」が紹介。
 オプションでアイシャ騎の「旗竿」ガット・ブロウが付属される。

・第7話「フル・フラジャイル」ついて予告。
 第7話の構成エピソードと8話までの道筋が語られている。
 気になるのが8話に出る予定のE型「エンパイア・ブリンガー」の名前。
 デザインズ6では「エンツート・ブリンガー」だったが変更されたのか。
 初期の「ヤクト・ミラージュ」はE型で別名「エンペリアル・ミラージュ」だったが
 デザインズ1で生産時点ではE型だがJ型になったとされた。
 (旧J型のジュノーン/ジャッジメント・ミラージュはAm-J型に変更)
 E型「エンパイア・ブリンガー」とJ型「デトネーター・ブリンガー」を
 分けて書いているということは別騎体ということになるが?

・今月の連載はヨーンとデコースの決闘を見守る騎士たちが描かれるかなあと
 油断していたら新設定が沢山出てきてデザインズをひっくり返すことになった。

・シアン夫人に「ネリス殿」と呼ばれて登場した新キャラ。
 「永野護デザイン展」の大阪会場のサインボードに追加で描かれた人物。
 純血の血族でネリスというと剣聖ナッカンドラ・スバースの長女ネリス・バスコ・スバースだ。
 ネリスの息子が剣聖デューク・ビザンチン、孫が剣聖ヘリデ・サヤステ。
 彼はそのネリスに顔が似ているからと同じ名を付けられたようだ。
 自分を騎士の血の出ない「下家(ウゴード)」、ボードは「正家(アラド)」と言っている。
 デザインズ2の純血の騎士の家系図を見ると剣聖スバースの次女のアラド・バスコ・スバースと
 旧レント国王ジェスター・ルースの子供にウゴード・ルースがいる。
 ウゴードは血族でありながら騎士の血も魔導士の血も発現しなかったことから
 「下家」なんて言われていると思うが家系図を見るとボードは「下家」だ。
 さらにネリスは「下家」の人間と言いながらナイトマスターの紋章を付けている。
 頭が痛くなってきたが単純に天照家の家系図のように新設定で
 純血の騎士の家系図に変更が入ったのかもしれないので作者に解説されるまで待つか。

・ノーディカの友人と言われると話の流れとして浮かぶのはアニー・ポロニウムだろうか。
 デザインズ7にノーディカ重産業都市国家に属するガーランドにアニー・ポロニウムがいて
 彼女は「ヘ・リー聖域」のガーランドのヘアリオ・ノーベリウムを知っていると書かれている。

・ファティマ・クラトーマは12巻で剣聖慧茄とMHファントムを駆っていたが
 慧茄の年齢的に手放されこのネリスをパートナーにしたのかな。
 初期のイラストと比べるとどんどん幼くなっているように見える。

・デコースの戦いを観戦するクリスとファティマ・町。
 クリスの父でかつてフィルモア帝国三銃士の一人だったバーバリュース・Vは
 バランシェ・ファティマとGTMユーレイを駆って中古のGTMとエトラムルで戦うデコースに敗北した。
 それが原因でクリスはクラスでいじめにあい殺人に至った。その責任を取る形で父が自刃。
 つまり間接的にせよクリスにとってデコースは父の仇で自分の辛い境遇の原因だ。
 なのでクリスはデコースに対して遺恨があるのではと思ったが割とさっぱりとしていた。
 ダイ・グの死を乗り越えて「エンペラーズ・ハイランダー」になった者として色々吹っ切れたか。

・デコースに対して遺恨があるのはファティマ町の方。
 バーバリュース・Vがデコースに負けたというのは曖昧な話から尾ひれの付いた噂話で
 実際はデコースを倒し切れず逃がしただけだった。
 さらにデコースの使っていたGTMはライモンダ(MHデヴォンシャ)ではなくエトラムルでもなかった。
 なんと彼が使っていたのは「ヘ・リー聖域」のGTMと制御人形だった。

・という訳でデコースに対する根本的な認識がひっくり返ってきた。
 10巻のスパンタウゼンの話で「バーバリュース・V+ファティマ・町+MHサイレン」が
 「デコース+エトラムル+中古のMHデヴォンシャ」に敗北したというのは
 いくらデコースが(剣聖を除く)最強クラスの天才騎士だったとしても
 バランシェ・ファティマに認められた騎士であるバーバリュース・Vが不甲斐ないと思っていた。
 つまりデコースは1巻以前からビューティー・ペールたちの息がかかっていたということになる。

・作者が1巻を描いてた頃からその事を考えていたとは思わないが
 ソープが「動きに優雅さがない」と言ったエトラムル型搭載のMHはヘルマイネだったので
 デコースが駆っていたMHバルンシャにはロスト・テクノロジーが使われていた可能性があるか?
 さすがに「ソープ+ファティマ・ラキシス+MH K.O.G.」には勝てないだろうし。

・「ヘ・リー聖域」。
 カラミティ星のウモス国とロッゾ帝国があるキーヤ大陸の南端にある。
 かなり以前からカラミティ星にある怪しい土地として前振りがあった場所。
 その正体はAD世紀以前のアズデビュート紀の超古代文明を引き継ぐ聖域。
 デザインズ7の解説ではアズデビュート紀はモイキュードとの戦いが決着して
 モナークの管理人が「モンソロンのアズデビュート数式生命帝」と呼ばれていた時代だ。

・「ヘ・リー聖域」でアズデビュート紀の遺産を引き継ぐ者たち。
 ・「カカラック・ガジー」…融合制御人形。GTMの頭脳と直結する制御機械。
 ・「アイアイン・ドライゼ」…GTMガーランド。デザインズ4で謎のガーランドと書かれていた。
 ・GTM「シャイレンドラ」…ドライゼ博士の試作的GTM。
 ・「アアーボ・ランタノイド」…ファティマ・ガーランド。アダマスの人造騎士の製作。

・「アズデビュート・オピロテック・メル・アザミド・XXVII」。
 古代のボルテッツ・パワー(オピロテック)を持つ魔女。
 ビューティーペールが太古の人形を復刻した人造人間。
 と「ヘ・リー聖域」の重要人物が紹介される流れで突如混ざってくる「メル・ズーム」。
 17巻でアマテラスはビューティー・ペールと禁忌の技術を危険視していたが
 「あの子どこいった?」とか言ってメル・ズームを見失っている。
 デザインズ7のミラージュ魔導団に名前があるので戻ってくるのかな。
 星団の騎士とボルテッツはAD世紀の炎の女皇帝ナインが産んだものという設定だが
 古代のボルテッツ「オピロテック」は別の技術体系から産まれたものだろうか?

・先手を取りたいヨーンの動かすGTMモルフォが一瞬止まる。
 これはヨーンが取りたい動きにモルフォとバシクが理解できず止まってしまったということか?
 デコースはフェイントかと思っているが肝心のヨーンが気付いていない。

・エストの「シンクロナイズド・フラッター」の説明を少年兵にするツバンツヒ。
 GTMの竜骨やツインスイングは動くときに自重を支えながら浮く。
 戦闘時のGTMは230トンから70トンくらいまで減る。
 この自重を軽くする状態を「セイル・ロコモーション」と呼ぶ。
 エストはダッカスの自重を自在にコントロールして
 ダッカスと相性のいい騎士をパートナーにすることで飛躍的に強さが得られる。

・ログナーの言葉を思い出して強い騎士を想い浮かべるヨーン。
 剣聖剣技を使ってみようとするがバシクに「負ケタラハラキリ」と呆れられる。
 なんだかんだヨーンとバシクは上手くやっている気がするが。
 バシクはGTMの開発・制御のために情緒や感情を抑制されているという設定で
 昔の感情のないロボットのイメージかカタコト語で喋っている。
 今では流暢に喋るロボットも珍しくもないのだがキャラ立てに役に立ってるからいいか。

・ヨーンの思い浮かべるケタ違いに強い騎士として
 アイシャとリリの姿が現れたが果たしてまだその先に誰かいるのか?

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